相談内容
kataxからの回答
ご質問の1に対する回答は「実務経験がある人より難易度は格段に高いが全く無理ではない」で、2に対する回答は「経理で言うところの簿記2級みたいな感じ」です。
実務経験なし&資格なしからの法務転職について
武器と弱みの洗い出し
まず、法務に限らず中途の求人では業務経験を求められることが多いので、未経験だとマイナスからのスタートになってしまうのは間違いありません。
ただ、当然のことながら、新卒ガチャで法務に配属された方以外は、どこかのタイミングで必ず実務経験なしから法務に転職しているので、 未経験だから無理、ということでは全くありません。
先日、2020年1月にtwitterでとったアンケートでも、実に半数以上の方が法務未経験の状態で法務職についているという結果が出ました。
では、未経験・資格なしの状態から法務職に就くために具体的にどうすればよいのかですが、まず最初にやるべきなのは、「未経験・資格なし」というマイナスをひっくり返せる要素(武器)として、何をもっているのか、またはマイナスを強化する要素(弱点)として何を抱えているのかを把握することです。これにより、ご自身の人材としての魅力を見える化し、客観的に測定することが可能になります。
記載いただいた要素を私基準の一般論で評価すると、 こんな感じです。
- 現職総務:総務の業務内容による。
株式実務などやっているならプラス。そういう要素がなければプラマイなし - 29歳:マイナス
未経験からのチャレンジをするには29歳は遅め - 法学部卒業:微プラス
なお、ご質問に書かれていない要素で、例えば「出身大学がいわゆる難関大学」とかだと、特にポテンシャルが重視される若いうちは有利な要素になってくれることがあります。
また、上記で総務の職歴について、「株式実務などやっているならプラス。そういう要素がなければプラマイなし」と書きましたが、これはあくまで一般論です。例えば、「総務がほしいんだけど、その人についでに法務的な動きもしてほしい」みたいなニーズの求人は存在します(経理+法務のほうがずっと多いけど)し、そういう会社では、総務の経験は非常に強い武器になります。武器を考える上で大切なのは、一般論ではありません。戦場ごとに役に立つ武器は変わります。質問者さんが最も戦闘力を発揮できる(ように採用企業から見える)戦場で、雇用主を探せば道は開けるのではないかと思います。
伝聞なので想像でしか無いのですが、エージェントさんの「ビジネス法務実務検定を取ってアピールするしか無い」というフィードバックは、実のところ「法務としての武器が今のところ見当たらない」または「私の見積もりでは成約させるのが難しそうなので、お引取りください」みたいなのが本心であって、ビジ法を取ったからといって案件をどんどん紹介してくれるようになるわけではないんじゃないかな、と感じました。
チャネルの選択
ご自身の人材としての魅力を把握できたあとにやるべきことは、チャネルの選択です。質問者さんはエージェントの門を叩いた結果つれない対応をされてしまったそうですが、じつは、これは人材エージェントの構造を踏まえるとさほど不思議なことではありません。エージェントは、武器を持たない人材にとってはあまり効果的なチャネルとは言えないのです。
まずエージェント側の立場からすると、上記のように未経験・無資格という明確なマイナスを抱えながら、それをひっくり返す武器を持たない以上、(残酷な言い方になってしまいますが)質問者さんは紹介しづらい人材です。エージェントは良い人材を紹介することで紹介先企業から信頼を獲得し、逆に採用意欲がわかない人材を紹介すると信頼を損ないます。エージェントにとって紹介先企業からの信頼はビジネスの命綱なので、それを傷つけるわけには行きません。
また、採用企業の立場からすると、エージェントから紹介された人材を採用すると年収の35%程度のフィーを支払うことになるので、例えば年収500万であれば、175万円+消費税を支払う価値のある人材であることが期待されます。持っている武器が年収の35%相当に満たない事が多い未経験・無資格の候補者にとって、このハードルはなかなか乗り越えるのが難しいハードルです。
もっとも、転職市場全般について情報をもらったり、職務経歴書に対するアドバイスを受けたり、非公開求人にアクセスしたりする必要はあるので、実際に採用につながらない可能性が高いとしても、エージェントへの登録は必ずすべきです。
これといった武器を持たない場合には、質問者さんのようにエージェントから「紹介できない」と言われてしまう可能性も低くないですが、もしそういうエージェントにあたってしまっても気にせず他のエージェントをあたりましょう。エージェントは、人によってやる気(がでる対象)や得意な領域がかなり異なるため、自分を魅力のある人材と捉えてくれないエージェントと付き合い続けるのは得策ではないのです。なお、傾向としては、明確な武器を持たない段階では、たくさんの紹介案件を持っている大手のエージェント(リクルートエージェントなど)に登録するのがおすすめです。
このように質問者さんの現状はあまりエージェント向きではないとして、では向いたチャネルは何かというと、これはシンプルに採用時に成功報酬が発生しないリクナビネクストなどの転職サイトやコーポレートサイトの採用ページです。
なお、コーポレートサイトの採用ページについては、indeedのように情報を収集してくれるサービスがあるのでどんどん活用しましょう。
エージェントのように推薦を伴わないので、エージェント経由のエントリーよりも書類選考の通過率は落ちてしまいますが、気にせず少しでも興味のある会社にはどんどんエントリーしてください。まずは、法務の職歴を獲得することを最優先にしましょう。
ビジネス法務実務検定2級はどのくらい評価されるか
ビジネス実務法務検定は、問題の質も範囲もちょうどよい検定試験であり、幅広い知識を効率的に習得するためには非常に良いツールです。しかし、残念ながら、一般的にはそれを持っていることで一定の実務能力を有しているとみなされることはあまりないというのが実感です。「実務の前提になる基礎知識は持っているよね」という感じに近いでしょうか。
その意味で、経理にとっての簿記2級に近いと思います。
未経験からの転職において、それだけで採否が左右される要素ではありませんが、書面通過率の向上には間違いなく寄与すると思います。(前述の難関大学卒業、みたいな効果を得られることが期待できます)
なお、一般民事前提の法務の採否にダイレクトに影響する資格は、弁護士くらい(知財だともちろん弁理士も)だと思います。若手であれば、法科大学院卒業、予備試験合格なども2020年時点ではポジティブに評価する会社が多いと思います。
最後になりましたが、転職活動がんばってください!
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