法務部門のマネージャーに昇進するための3つのステップ

法務のキャリア

はじめに

キャリアの方向性を大きく2つに分ける場合、「マネージャー」と「スペシャリスト」に分けられるのは、法務においても例外ではありません。

他方、エンジニアやデザイナーなど、個人として事業に大きなインパクトを残せるポジションと違い、法務におけるスペシャリストの地位はさほど高くないのが一般的です。この傾向は、弁護士、司法書士、弁理士といった独占業務がある資格を持たない、いわゆる無資格法務においては更に顕著になります。

そのため、多くの法務担当者は、法務を一生の仕事とする場合、好むと好まざるとにかかわらず、マネージャーになることを意識せざるを得ないことが少なくありません。

マネージャーになるためには、内部昇格をするパターンと、転職に伴って昇格するパターンがあるのですが、このエントリーでは法務のマネージャーに内部昇格するためのステップを検討したいと思います。

マネージャーに昇進するための3つのステップ

1.マネージャーになる可能性がある会社に身を置く

一つの職種で複数の部署があることの少なくない営業と異なり、相当の大企業でない限り、法務のマネージャーは1社に1人であることが通常です。

そうなると、すでに法務マネージャーがいる会社では、現任のマネージャーが昇進、異動、転職などによってそのポジションを空けない限り、あなたがマネージャーになれる可能性はほとんどないということでもあります。

また、仮に法務マネージャーのポジションが空いたとしても、あなたがその後任として指名されなければ法務マネージャーになれないのは当然です。そのため、会社が自分以外のメンバーをマネージャーの後任候補と考えている場合は、更にマネージャーの地位は遥か彼方に遠のくことになります。
後任候補は常に明確なわけではありませんが、ポジションや仕事ぶりから自明なことも少なくありません。そのような場合に、同じ場所に身を置き続けることは、マネージャーになるという観点では得策とは言えません。マネージャー候補と目されている方は会社から高く評価されているということでもあり、その評価をひっくり返すことは非常に難しいと考えるべきだと思います。

上記は、言葉にすると当然のことではあるのですが、自分自身のこととなると目をそらしてしまいがちなのもまた事実なので、最初のステップとして敢えて挙げました。

2.マネージャー希望であることを伝える

マネージャーになりたいと思っている方は、折に触れて上司や同僚にその意向を伝えましょう。内心、マネージャーになりたいと思っている人は多い一方で、はっきりと「次のマネージャーになりたい」と公言する人は意外に少ないものなので、これだけで一歩前に進むことができます。

また、自分の意向を伝えることにより、会社が次の法務マネージャーとして意識してくれるだけでなく、教育の機会や、マネージャーを前提にした目標設定を受けられるようにもなります。何より、公言することにより、自分自身の行動が変わることの影響は大きいものです。

もし、現任のマネージャーがいるときにそんなことは言いづらいのであれば、マネージャーのポジションが空いたタイミングで宣言することでも構わないでしょう。

状況に鑑みて次は自分だろうと思っていたら、外からマネージャーを採用されてしまったといった悲劇を招かないようにするという意味でも、とにかく自分の意向を表明することは重要です。

3.マネージャーにしたい人材になる

最後のステップに至ってようやく自分自身の話になるわけですが、「マネージャーになる」という観点からはこの順番はとても重要です。枯れた大地に種を蒔いておきながら、「世話をしても芽が出ない」と嘆くことが滑稽なように、環境を整えることは何よりも優先すべきことだからです。

では、具体的にどのような人材が「マネージャーにしたい人材」なのか、ですが、身も蓋もない言い方をしてしまうと、これは「上司(マネージャーの選任者)のお気に入り」です。

ただ、「お気に入り」といっても、上司に媚びたり忖度しろという話ではありません。必要なのは、上司から頼まれた仕事をスピーディかつ丁寧に仕上げるとか、先回りして判断のために必要な情報を集めておくとか、不必要に反論や対立をしないとか、敬意を払うといった、至極真っ当なことの積み重ねです。要は、上司から「自分の直属の部下になったら仕事がしやすくなる」と思われるような人材になることを目指すのです。

マネージャーとしての適性を示すとか、他のメンバーよりも日々の業務を高い品質で処理するといったとも重要では、と思われるかも知れませんが、上司に気に入られなければそれらの努力が日の目を見ることはありません。時々「会社はわかってない」「上司の見る目がない」と嘆いている方を見かけることがありますが、多くの場合、見る目がないのではなく、単に「お気に入りではない(直属の部下にしたい人材ではない)」というだけのことも少なくありません。

さいごに

法務にとってマネージャーになれるか否かは、その後のキャリアを大きく左右する一大事です。その意味で、マネージャーになりたくないと思っている方以外は、どこかのタイミングでこのくらい割り切って一度マネージャーを目指すことにも意味があるのではないかと思います。

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