【転職ストーリー】高橋さん(仮名)のケース

転職ストーリー

どんな人?

  • 30代女性
  • 転職回数3回(派遣→転職サイト→エージェント)

〜1社目/2社目

今日はよろしくおねがいします。

早速ですが、高橋さんは新卒からのスタートではなかったそうですね。

実は関西の会社に新卒での内定も頂いていたのですが、家族の都合で急遽東京に拠点を移さなければならなくなり、大学卒業後すぐに専業主婦になりました。半年ほど専業主婦をしていたのですが、生活費の足しにしようと思い、普通のアルバイトをはじめました。法務とは全く関係のない、近所の飲食店でのホールのバイトです。

ただ、やはり時給千円未満の世界なので、もう少ししっかり稼ぎたいな、と思って派遣社員になりました。といっても、このときも法務とは無縁でした。そもそも、大学も法学部ではなかったですし。

とはいえ、派遣社員では収入もままならないので、やはり正社員になりたいと派遣会社に相談したのですが、正社員としての職歴がなく、資格も持っていなかったので、このタイミングで正社員は難しいという話をされて。ただ、正社員に繋がる職場として大手企業の法務部を派遣先として打診されました。これが、法務のキャリアの始まりですね。

未経験OKの法務求人は少ないですもんね。
個人的にも、派遣社員から法務の実務経験を積むルートはおすすめだと思ってます。

派遣先はどのような会社だったんですか?

社員は数千人、法務だけでも数十人いるような大企業でした。
給与は手取りでおおむね月額20万くらいでしたね。

派遣先はとても良い職場だったのですが、当初から1年契約だったので、9ヶ月目くらいから転職先を探さなければならなくて。遊ぶためのお金も欲しかったので、次こそは正社員になろうと思って転職活動を開始しました。

またこの頃、正社員になるには経験に加えてなにか資格もあった方が良いだろうと感じていたのですが、録画していたカバチタレを見て、行政書士を取ろうと思い立ったんです。

すごいきっかけですね(笑)
行政書士は独学で合格されたんですか?

最初は独学で進めてたのですが、そもそも大学も法律を学ぶような学部ではなかったのでこのままでは難しいなと思い、伊藤塾の行政書士講座を受けて、その後無事合格することができました。

〜3社目

大手企業で実務経験も積めましたし、次は正社員になれそうですね。
どんなチャネルで転職活動をされたんですか?

転職サイト・・・確か、en転職だったかな、で、良さそうな求人を検索してエントリーし、返信を頂いたエージェントにはすべて会いに行きました。5社くらいお会いしたと思います。

ただ、大手のエージェントからは「あなたの職歴では希望の求人にエントリーすることはできないし、他に紹介できる案件もない。」といった趣旨のテンプレメールが返ってきちゃって、なかなか厳しいなぁ、と思いました。

そろそろ1年の派遣契約が切れてしまう、というタイミングで、ようやくエージェントから紹介された企業の一つ会社から無事内定をいただくことができ、念願通り正社員になることができたという感じです。

正直、面接の手応えはあまりなかったんです。記憶にもあまり残っていないですし・・・。前職と異なり、上司になる人以外に法務を担当している人はいなかったので、「すぐ入社できる」ことが最も高く評価されたポイントだったんじゃないかなって結構まじめに思ってます。

報酬面ではいかがでしたか?

給与は派遣社員時代と比較して50万円くらい上がりました。
ただ、目標設定や評価制度などがまったくない会社だったので、在籍していた3年間で全く給与は上がらなかったんですけどね(笑)

担当業務としては、日々の契約書チェックに加えて、決裁フローづくりやリーガルチェックフローづくり、一応コーポレート法務的な仕事も少しありました。
とはいってもオーナー企業なので、機関運営というより、実態は「議事録づくり」みたいな仕事になっちゃっていましたけど。

仕事の領域は派遣社員時代から大きく広がり、やりがいはあったのですが、リーマンショックによって大きく環境が変わりました。人材派遣の仕事がメインだったので、当時話題になった「派遣切り」は、私達にとっては「派遣切られ」だったんです。

事業が苦しくなる中でバックオフィスも収益面で貢献しようという話が出てきて、びっくりすることに交代制でカレーの移動販売をするというアイデアが真面目に検討され始めたんです。

え?カレーを売るんですか?
イベントとかで一時的なお店を出すのではなく?日々の業務として?

そうです。日常的な業務として、カレーを売るんです(笑)
管理部門が収益に貢献するって、そういうことじゃないと思うんですけどね。

結局実行に移されることはなかったのですが、これはもうだめだなと思い、転職活動を開始することにしました。

今回も、前回の転職と同様に転職サイトからのエントリーで進めました。
ビズリーチも登録してみたのですが、私の場合は入り口が違うだけで、結局転職サイトでも繋がるエージェントや企業との接点にしかならないな、と思って無料期間の終了とともに利用しなくなっちゃいました。

〜4社目

そして、次に転職されたのが、現職ですね?
面接の様子はいかがでしたか?

面接は、とても良い雰囲気で進みました。
管理本部長と法務部長との面接だったのですが、会話が弾み、受け答えもスムーズにできて、これは行けたかもという手応えがありました。
やはり、3年間正社員として法務を続けたことを通じて、一通りの法務業務を経験してきたということ自体が評価ポイントだったように感じます。最後は危うくカレー販売の職務経歴も追加されそうになりましたけど(笑)

また、私は社員が講師になって社内教育を行う文化というか、仕組みづくりをやりたいという思いがあったのですが、前職では会社自体に余裕がなくて実行に移せなかったんです。入社したらやりたいことを聞かれた際に、この話もしました。
実際に入社後に実行に移せたので、面接でこの話をしたのは正解だったと思います。

なるほど。入社後やりたいことや、将来のキャリアプランなどは面接でよく聞かれる質問の一つなのですが、ここをスパッと答えられないケースも少なくないんですよね。採用側からすると、キャリアビジョンが明確であれば業務面でのマッチングを判断しやすいので、その意味でも良かったのではないかと思います。

条件面ではいかがでしたか?

今回も転職に際して給与を上げていただくことができました。前職で全く給与が上がらなかったので、転職時点で年収で350万円くらいという感じです。
また、前職と違って一般的な評価制度が備わっていたので、毎年順調に昇給していきました。

契約法務を中心に、前述の従業員への法務教育の企画などに携わりながら、途中で産休育休をはさみつつ5年間法務に所属しました。その後、人事部に異動になり、3年間ほど人事を続けたあと、最近また法務に戻ってきました。今は簡単な契約書のチェックなどをしながらリハビリ中です。

一度法務から人事に異動されたんですね。
それは、会社都合ですか?それとも、ご自身の希望ですか?

私が希望したわけではないので、会社都合ですね。異動にあたっては、「法務の視点を持って在宅勤務制度の導入や働き方改革の推進といった動きをしてほしい。」 というようなことを言われました。
異動のタイミングは、育休からあけて一年ほどたち、こなれてきた頃で、「ママ社員のロールモデルになって欲しい」といった位置づけでもあったようです。

同じバックオフィスでも法務と人事とではかなり業務内容が異なると思います。実際に異動してみた感想はいかがでしたか?

まず、社員の給与情報を始めとした情報の機微さに圧倒されました。法務も業務上機密情報に触れますが、機密情報の取り扱いに関しては、法務は人事の足元にも及ばないというのが偽らざる実感でした。

また、人を評価する難しさ、特定の人を特別扱いしたケースの後始末の難しさなどの、いわゆる人事的な問題を肌身で実感できたのは今後の財産になると思います。今振り返ると、評価制度を本当に理解できたのは、人事に来てからだったなと思います。

あ、もう一つありました。
法務に契約書レビューをしてもらうって、結構面倒なプロセスなんだなってことを客観的に理解できましたね(笑)

それは、たしかに外に出てみないとわからないことですね。
「なんでもっと早く法務に見せないんだ」みたいに上から目線でお説教しがちな人には耳が痛そう(笑)

その後、法務に戻られたのはどんな経緯だったのでしょうか。

法務に戻ったのも会社都合です。

法務からずっと人員補充の要請があって、中途で即戦力を探していたもののなかなか良い方を採用できていない期間が続いていたんです。

採用活動は続けていたんですが、そうこうしてるうちどんどん法務のリソースに余裕がなくなってきて、ついに即戦力の方を採用しても、それを本稼働に持っていく余裕までが怪しくなってきたところで、以前法務を担当していた私に白羽の矢が立った、というのが法務に戻った経緯です。

会社としても難しい判断だったのですね。

ところで、現在も転職活動中とお伺いしましたが、なぜまた転職をお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

私自身のバックオフィスのキャリアが断絶する可能性がかなり高い状況になってきていることが大きいです。

当社はコールセンターを抱えているのですが、コールセンターって、ある程度人数が必要な反面、あまり人気がある職種とはいえず、かといって給与を高く出すわけにもいかないので採用が難しいんです。そんな中、欠員をバックオフィスや営業部門から補充するという対応が採られていて、流れを見る限り、私も異動対象なのだろうな、と。

コールセンター業務がどうということよりも、それによってこまでなんとか築き上げてきたバックオフィスのキャリアが断絶してしまうと、今後苦労しそうだなぁということが一番の懸念事項でした。

確かに、一度キャリアが断絶してしまうとと、戻すのはなかなか難しいところはありますからね・・・。

次はどういった軸で転職先を探されているのでしょうか

まず、これまで未上場企業でずっと法務をやってきたので、次は上場企業に行きたいというところが一番大きいです。やはり、未上場と上場とでは実務が大きく異るところがありますので。

その上で、私の経験を活かせるのは大規模な法務組織ではなく、立ち上げに近い段階だと思うので、理想を言えば、上場企業で法務組織を立ち上げる仕事ができるといいな、と思っています。上場企業で法務組織を持っていないという会社が存在しているのかはわかりませんけどね(笑)

そして、これまでは転職サイトで一度にたくさんエントリーし、複数のエージェントと同時並行でやり取りしていましたが、今回は積極的に働きかけをしてくれたり、効果的なアドバイスをくれたエージェントお一人とだけ組んで転職活動をしています。
多くのエージェントさんとやり取りするのはとても大変で、疲れちゃうということがこれまでの経験でわかってきたので。

これから転職する方へのメッセージ

最後に、これから転職をしようと考えている法務の方に、一言お願いします。

私は、非・法学部出身、新卒カード放棄、複数回転職経験と、履歴書は決してきれいではありません。これを「履歴書の汚さ」と見られてしまうことはもちろんあるのですが、逆に「すべての転職でキャリアアップしている。なかなかやりたくてもできない。非常に強い向上心がある人間」と高く評価してくれた会社もありました。

覆しようのない短所でも、とんでもない強みになることもあります。行きたい会社、やりたい仕事があるときは、「高望みかな」などとチャレンジする前に怯んで諦めてしまったらもったいない。まず、応募あるべしです!

今日はありがとうございました!

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